ポケットの中の人権蹂躙

個人的に人権思想には懐疑的ではあるが、だからと云ってその意義や価値を認めないわけではない。ましてや、日本国法の基本理念である個人の尊厳は当然のこととして。


問題は株式会社京都パープルサンガが発表した次の処分である。

そのサポーターグループに対し「京都サンガF.C.が出場する試合会場への無期限の入場禁止」と「京都サンガF.C.が関わる場所における無期限の活動禁止処分」(活動とは横断幕の掲出、フラッグの掲出・使用、応援の統率、当該サポーターグループと判断できる服装、装飾品を身につけての来場を含めた団体活動のすべて)を決定し、通告いたしましたことをご報告させていただきます。

京都サンガF.C.での禁止行為に対する処分について

そもそも「そのサポーターグループに対し」と云うのがよく解らない。確認してみると、そのサポーターグループに所属していれば入場禁止ということである。
処分理由である行為と処分対象である個人が結び付けられていない。
どうやら悪質な行為はサポーターグループそのものが起こした、という認識らしい。個人の自律性など念頭にないのであろう。
そんな馬鹿な話はないと思ったが、案の定、運営管理規定では定められていない。

第6条(入場拒否、退場命令)

  1. 運営・安全責任者は、第3条、第4条または第5条の規程に違反した者の入場を拒否し、あるいは施設からの退場を命じ、および第3条に掲げる物の没収等の必要な措置をとることができる
  2. 運営・安全責任者は、前項に該当する者の中で特に悪質と認める者に対しては、その後開催される当クラブ主管試合の全てにおいて入場を拒否することができる。また、チケットの返還を求めることができる
  3. 運営・安全責任者により入場拒否を否され、または施設から退場を命じられた者は、チケットの購入代金の払い戻しを求めることはできない

京都サンガF.C.試合運営管理規定


先日、そのことを問題とした記事がアサヒ・コムに掲載された。
しかし、驚くべきことに、Jリーグ事務局までもがこれを是認している。

Jリーグ事務局も「仲間の禁止行為を許したことでグループの責任は問われる。これまでも団体の活動停止例はある」と、京都の措置に問題ないとの認識だ。

前代未聞の入場禁止33人。その背景 - ありったけサッカー魂

ただ、コメント内容を読む限りでは、発言者が問題点を把握していたかどうかは疑問。「団体の活動停止」と「所属団体を理由とする処分」は別の問題である。質問がどちらに対して行われたのか、或いは、質問自体が二つの問題を区別していなかったとも考えられる。


ということで、手が空けば週末にでもJリーグに対して質問状を送ってみようと思う。それとも、小倉先生に説教して貰った方がいいのだろうか。